パスワード管理の基本|「使い回し」が一番危ない

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パスワード管理の基本|「使い回し」が一番危ない

使い回しは、
一番危ない。

PASSWORD

「同じパスワードを、あちこちで使っていませんか?」

使い回しは事故のもと。安全な管理の基本を身につけましょう。

この記事は、事務職・オフィスワークにこれから挑戦する方に向けた、ITリテラシー「代表的なソフトウェア」の5本目です。ここまでで、調べる・伝える・預ける・話し合うの4つができるようになりました。最後に必要なのが、それを守る技術です。読み終わる頃には、自分が今いくつのパスワードを使い回しているかを画面で数え、その日のうちに1つを作り直せるようになります。

先に結論から。パスワードで一番危ないのは、短さでも記号の少なさでもなく「使い回し」です。1つの流出が、そのまま他のすべての入口の流出になります。そして解決策は、覚える力を鍛えることではありません。覚えるのをやめて、道具に持たせることです。

使い回しは「家も車もロッカーも同じ鍵」の状態

パスワードは扉の鍵にあたります。同じパスワードをあちこちで使うのは、家の玄関も、車も、会社のロッカーも、銀行の貸金庫も、全部1本の鍵で開くようにしてあるのと同じです。便利なのは間違いありません。持ち歩く鍵が1本で済みます。

けれど、その1本をどこかで落とした瞬間に何が起きるかを考えてみてください。拾った人は、順番にすべての扉を試すだけです。パスワードの世界では、この「順番に試す」を機械が1秒間に何千回も行います。

「全部の扉が同じ鍵」になっていませんか同じパスワードを使い回す銀行会社通販SNS1本落とすと、4つとも開いてしまうサービスごとに別のパスワード銀行会社通販SNS1本落ちても、開くのはその扉だけ
鍵を分けておけば、1本落ちても被害はその扉だけで止まります。

1か所の流出が、他の扉に持ち込まれる

どこかの通販サイトから、メールアドレスとパスワードの組み合わせが流出したとします。悪意のある人は、その組み合わせをそのまま持って、別のサービスの入口で片っ端から試します。使い回していれば、そのうちのどれかが開きます。開いた先が会社の管理画面だったとき、被害を受けるのはあなた1人ではありません。

だからこそ、覚えておくべき順番は「同じにしない」が先、「複雑にする」は後です。

1か所の流出が、他の扉に持ち込まれます通販サイトから流出メールアドレスパスワード同じ組み合わせを他のサービスで片っ端から試す使い回していた扉が開く会社の管理画面もだから危ないのは「弱いパスワード」より、まず「同じパスワード」です
狙われるのは弱さより、「同じであること」です。

強さを決めるのは、記号より長さ

「大文字・小文字・数字・記号を混ぜる」は昔からよく言われますが、8文字では混ぜても総当たりが届きます。今の基準は長さです。目安は16文字以上。

とはいえ、記号だらけの16文字は覚えられません。そこで使うのが関係のない言葉を4つつなぐやり方です。「あさごはん・きゅうり・でんしゃ・7」をローマ字でつなげば、それだけで20文字を超えます。意味のつながらない言葉ほど、他人には推測できません。

強さを決めるのは、記号より「長さ」8文字記号を混ぜても、短いと総当たりで届きます12文字4文字増えるだけで、手間は桁違いに増えます16文字作り方:関係のない言葉を4つつなぐ 例)あさごはん・きゅうり・でんしゃ・7(ローマ字で)
4文字伸ばすほうが、記号を1つ足すよりずっと効きます。

覚えるのをやめて、道具に持たせる

サービスごとに違う16文字を全部覚えるのは無理です。ここで使うのがパスワード管理ツール。Chromeなら右上の点が3つ並んだボタンから「パスワードと自動入力」を開き、「Googleパスワードマネージャー」で保存と自動入力ができます。新規登録の画面でパスワード欄を押すと、自動で強いものを提案してくれるので、それを選んで保存するだけです。

自分が覚えるのは、その管理ツールを開くための1つだけ。鍵を1本ずつ持ち歩くのをやめて、鍵束と、その鍵束を開ける1本を持つ形にする——これが今の標準の持ち方です。

二段階認証は、扉のチェーンロック

二段階認証は、パスワードが合っていても、もう一段の確認がないと入れなくする仕組みです。玄関のチェーンロックと同じで、鍵が合っていてもドアは細くしか開きません。

設定の場所はどのサービスもほぼ同じです。「設定」を開き、「セキュリティ」または「アカウント」の中にある「2段階認証」を選び、スマートフォンの番号か認証アプリを登録します。所要時間は3分ほど。会社のメールと、給与や個人情報を扱う管理画面だけでも先に設定しておくと、守りの厚みがはっきり変わります。

私たちが、媒体ごとに鍵を分け直した日

私たちCCコミュニケーションズは、複数の求人媒体の管理画面を日常的に使います。その中には、応募してくださった方の名前・電話番号・これまでの職歴が入っています。ご本人が私たちを信じて預けてくださった情報です。

以前、担当者が「覚えやすいから」と3つの媒体で同じパスワードを使っていたことが分かりました。その場で全部を別々に作り直し、二段階認証も入れました。かかった時間は30分です。もしその前に1つでも破られていたら、30分では取り返せませんでした。

守っているのは、自分のものではありません

パスワードを分けるのも、16文字にするのも、面倒な作業です。それでもやるのは、自分のアカウントを守るためだけではありません。その扉の向こうにあるのは、お客様の契約内容であり、応募者の連絡先であり、一緒に働く仲間の給与です。

私たちにとって情報を守ることは、規則を守ることではなく「預けてくれた人との約束を守ること」です。今日変える1つのパスワードは、その約束の一番小さくて確実な形です。

お預かりした情報守っているのは、自分のものではありません
扉の向こうにあるのは、誰かが信じて預けてくれた情報です。

今日からできる、たった1つのこと

TODAY'S ACTION

パスワードチェックアップを開いて、使い回している件数を数え、いちばん大事な1つを変える

Chromeの右上にある点が3つ並んだボタンを押し、「パスワードと自動入力」から「Googleパスワードマネージャー」を開きます。左の「チェックアップ」を押すと、「同じパスワードを使い回しています」と表示される件数が出ます。まずその数字を数えてください。次に、その中から自分にとっていちばん大事なサービスを1つだけ選び、そのサービスの設定画面でパスワードを変更します。新しいものは、関係のない言葉を4つつないだ16文字以上。1日1つ変えれば、1週間で7つの扉の鍵が別々になります。

まとめ

パスワードで最初に直すのは、複雑さではなく使い回しです。長さは16文字、作り方は関係のない言葉を4つつなぐ。覚えるのは管理ツールを開く1つだけにして、大事なサービスには二段階認証を入れる。まずはチェックアップの画面を開いて、使い回している数を自分の目で数えるところから始めてください。