決裁者と稟議を動かす|担当者の「社内営業」を助けるのが上級の仕事

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決裁者と稟議を動かす|担当者の「社内営業」を助けるのが上級の仕事

担当者が「YES」でも、
案件は止まる。

HELP THEM SELL INTERNALLY.

目の前の担当者は乗り気なのに、なぜか話が進まない——。

その多くは、社内の稟議で止まっています。上級の営業は、担当者の"社内営業"まで一緒に戦います。

担当者を説得できても、社内の稟議で止まってしまう——法人営業でよくあるつまずきです。上級の営業は、担当者が“社内で戦う”のを助けます。この記事では、決裁者の言葉で価値を語り、稟議を動かすための考え方を解説します。

先に、3つの言葉だけ

この記事にはビジネス用語が続けて出てきます。意味が分かっていないと、以降の話が全部ぼやけるので、先にここだけ押さえてください。

言葉意味営業から見ると
決裁者その支出を最終的に「やる/やらない」と決める権限を持つ人目の前の担当者ではないことが多い。部長・役員・社長など
稟議(りんぎ)担当者が書類を作り、上長へ順番に回して承認をもらう社内の手続きここで止まると、担当者が乗り気でも案件は進まない
ROI投じたお金に対して、どれだけ返ってくるか(費用対効果)「50万円かけて、年200万円分の残業が減る」のような形にして示す
この3つが分かれば、この記事は最後まで読めます。

担当者を口説けば終わり、ではない

担当者が提案に賛同していても、上司や決裁者が首を縦に振らなければ、案件は進みません。営業の仕事は、担当者の社内営業を支援するところまで含みます。

案件が決まるまでの登場人物

営業あなた
担当者窓口。社内では説明する側
上司一次承認。現場の妥当性を見る
決裁者最終判断。金額と効果を見る

営業が直接話せるのは担当者まで。その先は担当者が一人で戦います。
担当者が社内で説明できる状態をつくるところまでが、営業の仕事です。

提案が止まるのは、たいてい2番目と3番目の間です。

担当者に「社内で戦える武器」を渡す

稟議資料、上司向けの説明、ROI、数字、決裁者向けの資料。必要であれば、決裁者との商談に同席することもあります。担当者が社内で説明しやすい"武器"を用意するのが、ここでの仕事です。

担当者に渡す、4つの武器稟議資料のたたき台そのまま社内に出せる形で渡す投資対効果の数字工数削減・人件費・機会損失を金額に決裁者向けの説明資料現場の言葉を、経営の言葉に置き換える決裁者商談への同席必要なら、私たちが直接説明する
渡すのは説得ではなく、社内で使える材料。

担当者に渡す「一枚メモ」は、この4行でいい

「稟議資料を作ってあげる」と身構える必要はありません。担当者が上司に転送できる、4行のメモで十分です。

一枚メモに書く4行

なぜ必要か:現場で今なにが起きているか(例:月末の集計に経理が2日かかっている)

いくらか:初期費用と月額を、税込か税抜かまで書く

どんな効果か:金額か時間に換算する(例:年間で約24日分の作業が減る)

リスクと、その対処:うまくいかない条件と、そのときどうするか

4行目を書けるかどうかで差がつきます。リスクが書いていない資料は、決裁者から「都合のいい話だけ持ってきたな」と見られます。提案では、リスクも一緒に話すもあわせてどうぞ。

渡すときは「そのまま上司の方へ転送していただいて大丈夫です」と添えます。担当者に清書させないことが、いちばんの支援です。

「会社がどう儲かるか」を決裁者の言葉で

決裁者が見るのは、金額とその効果です。売上だけでなく、工数削減・機会損失・生産性など、見えないコストも数字にして"投資対効果"の形に翻訳します。

本来売上を生むはずの社員が単純作業に時間を奪われているなら、削減できるのは人件費だけではありません。「その時間で本来生み出せたはずの価値」まで含めて示します。

稟議を動かす流れ 1 担当者の合意 まず担当者が納得する 2 武器を渡す 稟議資料・ROI・数字 3 社内で説明 担当者が上司へ説明 4 決裁者へ 必要なら商談に同席 5 可決 案件が前に進む

潜在課題は「動かせる範囲」に落とす

会社全体の壮大な課題を指摘しても、担当者が動かせなければ稟議は通りません。まずは担当者が実際に動かせる範囲まで落とし込みます。特に「野心はあるが、課題がまだ明確になっていない担当者」とは相性が良く、ゴールを一緒に整理していきます。

進めるべきか、引くべきかも見る

「どの会社でもできそうなのに、信頼関係もないCCへわざわざ依頼してくる」案件は、なぜ課題が残っているのか・他社はなぜ断ったのかを確認します。完全な価格競争や、自社の価値を出しにくい二次受けは、撤退も選択肢に入れます。

進めるか、引くか価格以外で選ばれる価格だけの勝負課題が明確課題があいまい進める(本命)勝ち筋がはっきりしている案件担当者と決裁者の両方に効く提案を作る条件を見直す値下げは、後でどう回収するかとセットでしか出さない一緒に整理するありたい状態から課題を言葉にし担当者が動かせる範囲まで落とす引く(撤退も選択肢)完全な価格競争や、価値を出しにくい二次受けは受けない判断もする
なぜCCに話が来たのかを確かめてから、進むか引くかを決める。

私たちはこう考える

上級の営業とは、「営業成績が良い人」ではありません。「自分以外の出力まで上げられる人」です。顧客・現場・社内・協力会社を巻き込み、関係者全体の成果を引き上げる。それが、CCが目指す上級営業の姿です。

たとえば、こんな場面で

目の前の担当者が「いいですね、やりましょう」と言ってくれても、社内の稟議で止まれば、案件は1ミリも進みません。担当者は賛成でも、その上司や決裁者を説得する材料を持っていないことが多いからです。上級の営業ほど、ここを助けます。

「現場が助かります」だけでは決裁者は動きません。私たちは、担当者が社内で使える武器を一緒につくります——「この施策で、会社がどう儲かるか」を数字で示す。売上アップだけでなく、工数削減・人件費・機会損失・管理工数まで金額に換算します。たとえば『本来売上をつくる社員が、単純作業に月10時間使っている』なら、その10時間の人件費だけでなく、『その10時間で本来生み出せたはずの売上』まで見せる。担当者が、そのまま上司に説明できる状態にして渡します。

「担当者が納得する提案」と「決裁者が通せる提案」は、別物です。

担当者止まりの提案決裁者を動かす提案
主語現場・担当者会社(経営の判断軸)
根拠「便利」「助かる」「いくら儲かる/いくら損を防ぐ」
数字ふわっとした効果工数・人件費・機会損失で換算
渡すもの口頭の説明そのまま上司に出せる1枚
結果稟議で止まる決裁が通り、前に進む

今日からできる、たった1つのこと

TODAY'S ACTION / 今日の1アクション

担当している案件を1つ選び、上の4行の「一枚メモ」を実際に書いてみる(15分)。

今動いている案件を1つ選び、「なぜ必要か・いくらか・どんな効果か・リスクと対処」の4行を、実際にメモアプリで書いてみてください。きれいな資料にする必要はありません。書いてみると、たいてい「どんな効果か」を金額や時間に直せないことに気づきます。そこが、次の商談で聞くべきことです。「その作業、今は何人で何時間かかっていますか」と1つ質問を用意して臨んでください。まだ自分の案件がない人は、社内で誰かにお願いごとをする場面で同じ4行を書いてみると、感覚がつかめます。

まとめ

決裁を動かすのは、熱意ではなく「担当者が社内で戦える状態」です。稟議資料・数字・決裁者への同席まで踏み込む。そこまでやって初めて、上級の営業と言えます。

ここまでの前提になるのが、そもそもの提案の組み立て方です。提案書・価格・クロージングヒアリングは「ありたい状態」から始めるを読んでおくと、一枚メモに書く中身が自然と埋まります。