AIを使うときの注意点|間違いと情報漏洩に気をつける

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AIを使うときの注意点|間違いと情報漏洩に気をつける

便利だけど、
丸投げは危険。

AI CAUTIONS

「AIの答えを、そのまま使っていませんか?」

AIは便利ですが、間違いや情報漏洩のリスクもあります。

この記事は、ITリテラシー「AIツール」カテゴリの7本目・最終回です。ここまでの6本で、AIに下書き・要約・議事録・調べものを渡せるようになりました。最後に、使い続けるために必ず身につけておく2つのこと——間違いへの備えと、情報の扱い——を、事務の現場で実際に起きる場面で見ていきます。

先に結論から。AIのリスクは大きく2つです。①もっともらしい嘘をつく(ハルシネーション) ②入力した情報が社外へ出ていく。どちらも、決まった手順を作っておけば防げます。この記事では、その手順を具体的な動作にして渡します。

ハルシネーションとは「自信満々の道案内」

見知らぬ土地で道を尋ねたとき、実は知らないのに、堂々と「その角を右です」と教えてくれる人に会ったことはありませんか。悪気はなく、本人も間違っているとは思っていません。AIの間違いは、これとまったく同じ形で現れます。

1本目で書いたとおり、生成AIは「次に来やすい言葉」を並べています。言葉として自然かどうかは計算していますが、内容が事実かどうかは見ていません。だから、間違いは「いかにも間違いっぽい文章」ではなく、いちばん自然で読みやすい文章の形をして出てきます。ここが怖いところです。

事務の現場では、こんな形で出てきます

抽象的な話にしないために、実際に起きた4つの場面を挙げます。どれも、読んだだけでは間違いだと分からないものばかりです。

事務の現場で実際に起きた「自信満々の間違い」制度の日付「今年4月から改正」と断言。実際は前年からだった資料の名前実在しない助成金の名前をそれらしく作って回答した集計の合計一覧は正しいのに、足した合計だけが合わない引用の出どころ「◯◯の第3条」と示すが、そんな条文は存在しない
どれも文章としては自然。だから読み流すと通ってしまいます。

とくに危ないのが合計の数字です。一覧に並んだ個々の数字は正しいのに、最後の合計だけが合わない。表の形が整っているぶん、「ちゃんと計算してくれた」と感じてしまいます。合計欄は、必ず自分で計算し直すと決めておいてください。

怪しいと感じたら、3手で確かめる

全部を疑っていては仕事になりません。確かめる動作を3つに決めておきます。

怪しいと感じたら、この3手で確かめる1出どころを聞く「その根拠は、どこが出している何という資料ですか」と続けて聞く2本物を開く示された資料名を検索し、公式のページを自分の目で開く3数字は自分で計算合計や日数は表計算ソフトか電卓で1回やり直す
「その根拠はどこが出している何という資料ですか」——この一言が最初の一手です。

②の「本物を開く」を省かないでください。AIは、資料名を聞かれればそれらしい資料名を作ってでも答えます。名前が返ってきたこと自体は、実在の証明になりません。検索して、公式のページを自分の目で開く。ここまでやって、はじめて確認したと言えます。

もう1つのリスク——入力した情報は外へ出ていく

多くのAIサービスでは、入力した文章が社外のコンピューターに送られます。一度送った情報は、自分の手では取り消せません。「間違えて貼ってしまった」は、後から取り返しがつかない種類の失敗です。

貼り付ける前に、この4つを置き換える元の文章置き換えたあと山田太郎様(株式会社◯◯商事)A社のBさん請求額 1,248,000円請求額 ◯万円090-0000-0000 / 東京都◯◯区…(削除して書かない)社外未公開の新サービス企画書(貼り付けない。要点だけ言葉で)
置き換えは10秒。この10秒が、お客様との信頼を守ります。

置き換えのコツは、「AIに文章の型を作ってもらうのに、本物の中身は要らない」と考えることです。お詫び文の構成を作ってもらうのに、実際の請求額は必要ありません。「◯万円」で同じ文章が出てきます。

CCの現場のリアル——貼り付ける前の10秒

私たちのバックオフィスでは、AIを使い始めた初期に、ひやりとした場面がありました。スタッフの就業条件のメモを、氏名と勤務先名が入ったまま貼り付けようとしていたのです。送信前に隣の担当者が気づいて止まりました。

この一件のあと、私たちはルールを1つだけ作りました。「貼り付ける前に、人の名前と会社名を目で探して置き換える」。10個の禁止事項を作っても覚えられません。動作を1つに絞ったことで、全員が続けられています。

あわせて、判断に迷ったときの決まり文句も共有しています。「これ、社外の人に見せても大丈夫な文章か?」。この問いに一瞬でも迷ったら、貼り付けずに上長へ確認する。それだけです。

最後に名前を書いて送るのは、あなた

ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。AIが作った文章でも、送信ボタンを押した瞬間から、それはあなたの名前で出した文章になります。受け取ったお客様は、AIに向かって話しているつもりはありません。

だから確認は、面倒な作業でも、AIを疑う作業でもありません。相手に間違った情報を届けないための、最後のひと仕事です。日付が1日ずれた案内が届けば、その人は1日を無駄にします。私たちが最後に人の目を入れるのは、その一人のためです。

AIは、私たちの時間を返してくれる道具です。返ってきた時間を、確認と、その先の人と向き合うことに使う。この使い方ができる人が、これからの事務職でいちばん強くなります。

AIの答え人が確かめる名前を書いて送るのは、あなた
道具がどれだけ進んでも、最後に責任を持つのは人です。

今日からできる、たった1つのこと

TODAY'S ACTION

AIの答えを1つ選び、「その根拠はどこが出している何という資料ですか」と聞いて、実物を開く

今日か明日、AIに何かを質問してください。答えが返ってきたら、続けて「その根拠は、どこが出している何という資料ですか」と打ち込みます。返ってきた資料名を検索し、公式のページを実際に開いてください。開けたらその内容が答えと合っているかを1か所だけ確かめます。開けなかった場合は、その答えは使いません。この往復を1回やるだけで、AIとの距離の取り方が身につきます。

まとめ

AIの間違いは、自信満々の道案内と同じ形で出てきます。確かめる動作は、出どころを聞く・本物を開く・数字は自分で計算するの3つ。そして貼り付ける前に、人の名前と会社名を置き換える。この2つを手順にしておけば、AIは安心して使える相棒になります。これでITリテラシー「AIツール」の7本は終わりです。1本目の「生成AIとは」に戻って、今なら何が違って読めるかを確かめてみてください。それが、身についた分量です。