PowerPointの基本|「文字だらけ」から卒業する

PowerPointの基本|「文字だらけ」から卒業する
文字より、
伝わる形に。
POWERPOINT
「スライドが文字だらけで、読まれていない気がする…」
PowerPointは“見せて伝える”道具。詰め込まないのがコツです。
この記事は、事務職・オフィスワークにこれから挑戦する方に向けた、ITリテラシー「Officeソフト」の5段目です。前の記事でWordの文書を整えたので、今度は画面に映して見せる資料です。読み終わる頃には、スライドのタイトルの書き方と、1枚に載せる文字の上限が決まった状態で作り始められます。
先に結論から。PowerPointの資料が伝わらない原因は、デザインの下手さではなく1枚に載せた量です。ルールは2つだけ。1枚につき言いたいことは1つ、本文は30字まで。この2つを守るだけで、見る人の顔が上がります。
PowerPointは「電光掲示板」、Wordは「時刻表の冊子」
駅の電光掲示板を思い出してください。載っているのは「次は14時 会議室A」くらいの短い文だけです。歩きながら見る人が、3秒で読み取れる量しか載せられないからです。一方、時刻表の冊子には細かい数字がびっしり並んでいます。手元で自分のペースで読めるからです。
PowerPointは電光掲示板、Wordは冊子です。同じ内容でも、載せられる量がまったく違います。文字を詰め込んだスライドが伝わらないのは、掲示板に冊子の中身を書き写しているからです。
①タイトルを「議題名」ではなく「言いたい一文」にする
作り始める前に、そのスライドで言いたいことを一文にして、タイトル欄に打ち込んでください。「3. 費用について」ではなく「初期費用は0円で始められます」と書きます。
これをやると2つのことが起こります。1つ目は、見る人がタイトルを読んだ瞬間に結論を受け取れること。2つ目は、一文にまとまらないスライドが見つかることです。一文にできないなら、そのスライドには話が2つ以上入っています。2枚に分けてください。
全体のタイトルだけを先に書くには、表示タブの「アウトライン表示」が便利です。左側にタイトルだけが縦に並ぶので、上から読んで話の流れがつながるか確かめられます。
②本文は30字まで。残りはノート欄に書く
スライドの文字は、読ませるためではなく思い出させるためにあります。30字を超えたら、見る人は文字を読み始め、話し手の声を聞かなくなります。
では削った言葉はどこへ行くのか。表示タブの「ノート」を押すと、スライドの下に入力欄が出ます。ここに話す内容を全部書いておけば、本番はそれを見ながら話せますし、印刷するときも「ノート」形式を選べば手元資料になります。スライドは見せるもの、ノートは自分が話すものと役割を分けてください。
③文字は24pt以上、色は3色まで
本文の文字サイズを24pt以上にすると、それ以上詰め込めなくなります。サイズが制限になって、書きすぎが自動的に止まる仕組みです。文字が入りきらないときは、サイズを下げるのではなく内容を次のスライドへ移してください。
色は3色までと決めます。文字の濃い色、強調用の1色、背景の薄い色。それ以上増やすと、どこが大事なのかが分からなくなります。書体も2種類までにそろえてください。
④配置は「ガイド線」に合わせる
図や文字の位置が1枚ごとに数ミリずれていると、画面を切り替えるたびに文字が飛び跳ねて見えます。表示タブの「ガイド」にチェック(Alt+F9でも出ます)を入れると、画面の中央に薄い線が表示されます。すべてのスライドで、この線に文字の左端をそろえてください。
現場のリアル:22枚を12枚に減らしたら質問が増えた
私たちが派遣先の企業へお持ちする提案資料は、以前は22枚あり、1枚あたりの文字数は平均180字ほどでした。商談中、お客様はずっと手元の資料を読んでいて、こちらの説明を聞いていない場面が何度もありました。
そこで1枚1メッセージ・本文30字に作り直し、22枚を12枚まで減らしました。削った説明は全部ノート欄へ移しました。すると、商談中にお客様が顔を上げて質問してくださる回数が増えました。資料が薄くなったのではなく、話す時間が返ってきたのです。
スライドを削るのは、聞いている人のため
文字を減らすのは、作る手間を省くためではありません。会議室に座っている人は、その時間、自分の仕事を止めてこちらを見てくれています。その30分を、資料を黙読する時間で埋めてしまうのはもったいない。
スライドは、相手の目を画面から離させるために作ります。見る人が3秒で要点を受け取って、残りの時間をこちらとの対話に使えること。それが、資料を作る本当の目的です。
今日からできる、たった1つのこと
過去のスライド1枚のタイトルを、言いたい一文に書き換える
前に作った資料を1つ開いて、いちばん文字が多いスライドを1枚選んでください。そのスライドのタイトルを「〇〇について」から、そこで言いたいことを表す一文に打ち直します(例:「費用について」→「初期費用は0円です」)。次に本文を30字まで削り、削った文章は下のノート欄に貼り付けてください。1枚だけで構いません。ここまで所要5分です。
まとめ
PowerPointは電光掲示板です。1枚に言いたいことは1つ、本文は30字まで、文字は24pt以上、色は3色まで。削った言葉はノート欄へ移します。作るのが上手な人とは、絵がうまい人ではなく載せない判断ができる人です。次は最後の1段、Excelの関数を使って「探す」作業そのものをなくす応用編へ進みます。

