ウイルス・セキュリティの基本|「うっかり」を防ぐ

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ウイルス・セキュリティの基本|「うっかり」を防ぐ

事故は、
うっかりから。

SECURITY

「怪しいメールのリンク、つい開いていませんか?」

セキュリティ事故の多くは“うっかり”。基本を知れば防げます。

この記事は、ここまでの6本でパソコンの操作をひと通り身につけた方に向けた、「パソコンの基礎知識」の最終回です。最後に扱うのは、覚えた技術で誰かに迷惑をかけないための土台。読み終わる頃には、あやしいメールを見分ける3つの確認点と、パスワードの決め方、そして「困ったときに誰に何を言うか」が手順として決まります。

先に結論から。情報の事故は、専門的な攻撃で起きるより、ふだんの1クリックで起きます。だから対策も専門知識ではありません。開く前に3か所を見る・パスワードを使い回さない・すぐ人に言う——この3つで、ほとんどは防げます。

あやしいメールは「宅配業者を名乗る訪問者」と同じ

玄関のチャイムが鳴り、「宅配便です」と声がしたとき、多くの人はドアを開ける前にモニターを見ます。制服は本物か、伝票を持っているか、そもそも荷物を頼んだ覚えがあるか。見てから開ける——これを誰もが自然にやっています。

ところが画面の中になると、この習慣がなぜか消えます。「請求書の件」という件名が届いた瞬間、モニターを見ずにドアを開けてしまう。あやしいメールへの対策とは、玄関でやっていることを、画面でもやるだけのことなのです。

開く前に見る3か所

メールを開く前、あるいはリンクを押す前に、次の3か所を順に見てください。どれも数秒で終わります。

押す前に、この3か所を見ます1差出人のアドレス表示名ではなく、@より後ろ1文字だけ違う偽物が多い見るのは3秒2心当たりがあるか頼んでいない請求・当選「至急」「24時間以内」に注意考えるのは5秒3リンクの行き先押さずに矢印を重ねると画面の左下に行き先が出る見るのは2秒
合計10秒。この10秒が、会社と自分を守ります。

3つ目の「押さずに重ねる」は、ぜひ今日から使ってください。リンクの文字の上にマウスの矢印を乗せるだけ(押さない)で、画面の左下に本当の行き先が小さく表示されます。「取引先の名前」と書かれたリンクなのに、出てきた行き先がまったく別の文字列なら、それが偽物の証拠です。

添付ファイルも同じです。開く前に、ファイル名のいちばん後ろの数文字を見てください。請求書と書いてあるのに末尾が「.exe」「.js」「.zip」なら、それは書類ではなく動くプログラムです。取引先が突然そうしたファイルを送ってくることは、まずありません。

パスワードは「長さ」で決める

パスワードで一番危ないのは、複雑さが足りないことではなく、同じものを複数のサービスで使い回すことです。どこか1つから漏れた瞬間、同じ組み合わせが他のすべてで試されます。1本の鍵で家も車も金庫も開くようにしているのと同じ状態です。

覚えやすくて強いのは、意味のない単語を3つつなげて、数字と記号を足すやり方です。たとえば「みかん・階段・かもめ」を並べてmikan-kaidan-kamome7!。記号混じりの短い文字列より、こうした長い文字列のほうが破られにくく、しかも覚えられます。サービスごとに1単語だけ替えれば、使い回しになりません。

1本の鍵ですべてを開けていませんか同じものを使い回す社内システム通販サイトSNS同じパスワード1つ1か所漏れると、3つとも開く1単語だけ替える社内システム通販サイトSNSmikan-…-7!kabin-…-7!tsuki-…-7!1か所漏れても、他は開かない
長さで強くする。替えるのは1単語だけで十分です。

CCで決めている「押してしまったあと」の手順

私たちCCで実際にあった話です。取引先の名前で届いたメールの添付を、スタッフが開いてしまったことがありました。開いた直後に「これは違う」と気づき、その場で立ち上がって上司に伝えました。そこから回線を抜き、確認までにかかった時間は約15分。結果、被害はゼロでした。

このとき私たちが学んだのは、事故の大きさを決めるのは押したかどうかではなく、言うまでの時間だということです。だから社内の手順はこう決まっています。①それ以上クリックしない ②パソコンをネットワークから外す ③5分以内に上司へ口頭で伝える。そして「押してしまった人を責めない」ことも、同じ手順書に書いてあります。責められると思った瞬間、人は黙ってしまうからです。

押してしまったら、この順番で1それ以上押さないマウスから手を離す2ネットから外す線を抜く/無線を切る35分以内に口頭でメールではなく、直接伝える
事故の大きさを決めるのは、押したかどうかではなく言うまでの時間です。

守っているのは、データではなく人

私たちが預かっているのは、数字の並びではありません。ある人の氏名、住所、時給、家族構成です。それが外に出れば、その人の生活が直接おびやかされます。セキュリティの手順が少し面倒に感じるとき、思い出してほしいのはそこです。10秒の確認は、誰か一人の暮らしを守る10秒。この記事をカテゴリの最後に置いているのは、ここまでで身につけた速さや便利さが、この土台の上でしか意味を持たないからです。

リンク押す前に、10秒だけその先には、必ず人の暮らしがある
守っているのはデータではなく、名前を持った一人ひとりです。

今日からできる、たった1つのこと

TODAY'S ACTION

受信箱を開き、直近3通の差出人アドレスを最後まで読む

メールの受信箱を開いてください。いちばん新しい3通について、表示されている会社名や人名ではなく、その横にある実際のアドレスの@より後ろを最後の文字まで読みます。読みながら、知っている取引先の綴りと1文字ずつ照らし合わせてください。3通で十分です。この目の動かし方が、そのまま偽物を見抜く力になります。

まとめ

情報の事故は、専門的な攻撃ではなく、ふだんの1クリックから起きます。開く前に、差出人のアドレス・心当たり・リンクの行き先の3か所を10秒見る。パスワードは単語3つをつないだ長いものにして、サービスごとに1単語替える。そして押してしまったら、5分以内に口頭で伝える。ここまでの7本で身につけた速さも便利さも、この土台の上に乗って初めて、その先にいる人の役に立ちます。