「どの機種がいいですか」に答えるための比較3軸

「どの機種がいいですか」に答えるための比較3軸
機種選びの相談に、
どう答えるか。
THREE AXES TO COMPARE.
「どれがおすすめですか、と聞かれると困る」
「新機種の情報を追いきれない」
端末の知識は次々に更新されます。だからこそ、覚えるのではなく「比べる軸」を持つこと。お客様の判断を助ける3つの軸をまとめました。
この記事は、これから携帯販売で働く方と、「どれがおすすめですか」と聞かれて固まってしまう方に向けた、応用編です。読み終わる頃には、機種の名前を覚えなくても答えられるようになる3つの比べ方と、頭の中に棚を作る方法が手元に残ります。新機種の情報を追いかける必要はありません。
部屋探しの店員さんは、全物件を覚えていません
部屋を探しに行くと、店員さんはまず3つ聞きます。家賃はいくらまでか、どのあたりに住みたいか、何年住む予定か。そして机の上に出てくるのは、3件だけです。あの人たちは何千件もの物件を暗記しているわけではありません。条件で切る順番を決めているから、その場で3件まで絞れるのです。機種選びの相談も、まったく同じやり方で答えられます。
覚えるのをやめて、棚を3つ作ります
端末は定期的に新しいものが出ます。全部の仕様を暗記しようとすると追いつきませんし、覚えた情報をそのまま並べる説明になります。代わりにやるのは、価格帯ごとに代表の1台を決めて、その1台だけは誰よりも詳しく話せるようにしておくことです。棚が3つあれば、たいていの相談はどこかの棚に入ります。新機種が出たときも、どの棚の代表を入れ替えるかを考えるだけで済みます。
軸① 価格帯——本体の代金と、月々を分けて出します
最初に予算感を聞きます。ここを外すと、どれだけ良い提案でも決まりません。伝えるときのコツは、本体の代金と、毎月かかる金額を分けて出すことです。「本体が◯◯円、月々は◯◯円です」と2つに割ると、お客様は自分の財布と照らして比べられます。合計だけを言われると、高いか安いかの判断ができません。
軸② 使い方の重心——話す仕様は、1つか2つに絞ります
| その方の重心 | 見るところ | 伝えるときの言葉 |
|---|---|---|
| 写真と動画 | カメラと保存できる容量 | お孫さんの写真が、暗い場所でもぶれにくくなります |
| 動画とゲーム | 処理の性能と画面 | 長く使っても、動きがもたつきにくいです |
| 連絡と調べもの | 電池の持ちと軽さ | 1日持ち歩いても、夕方に残っています |
| 仕事の連絡 | 電池の持ちと画面の見やすさ | 屋外でも画面が見えて、文字が読みやすいです |
「何にいちばん使いますか」と1つ聞くだけで、話すべきところは1〜2個に絞れます。写真が中心の方に処理の速さの話をしても、その方の生活では何も変わりません。仕様を説明するのではなく、その方の生活で何が変わるかを言う。この置き換えができると、専門用語をほとんど使わずに提案が終わります。
軸③ 使う年数——2年と5年で、答えが変わります
見落とされやすいのが、この3つ目です。2年で買い替える方と、5年使いたい方では、選ぶものが変わります。長く使う前提なら、今ちょうど足りる中身より、少し余裕のある選び方のほうが、結果として満足していただけます。逆に2年で替える方に余裕を持たせすぎると、使わない性能にお金を払っていただくことになります。
3つ通すと、候補は2台に減ります
お客様に出すのは、最後に残った2台だけです。5台も6台も並べると、比べる材料が増えて決まらなくなります。私たちが店頭でやっているのは、選択肢を増やすことではなく、責任を持って減らすことです。減らした理由を言えることが、そのまま提案の質になります。
答えられなかった質問は、その日のうちに書きます
知識は、この方法でしか増えません。接客中に答えられなかった質問を、その日のうちに手帳へ1行書いて、先輩に聞くか資料で確かめる。新人が3ヶ月続けると、ノートに40行ほど溜まります。そこに書かれているのは、お客様が実際に知りたかったことだけです。
私たちが新人に「機種を全部覚えろ」と言わないのは、覚える順番が逆だからです。カタログの上から覚えるのではなく、聞かれた順に覚える。そうすると、いちばんよく聞かれることから詳しくなっていきます。
「おすすめ」は、私たちの好みのことではありません
この仕事を始めると、自分が使っている機種や、店で数字になりやすい機種を出したくなる場面が必ず来ます。そこで一度立ち止まります。おすすめとは、私たちが良いと思うものではなく、その方の予算・使い方・年数の3つに合っているものです。この3つを聞かずに出した1台は、たまたま当たることはあっても、次につながりません。
私たちが見ている成果も、その日に決まった台数だけではありません。数ヶ月後にその方がまた来てくださるか、家族の分も相談してくださるか。3つの軸は、そのために使う道具です。
今日からできる、たった1つのこと
家族か友人を1人選び、予算・使い方の重心・使う年数の3つを聞いて、紙に3行書く
今日か明日、家族でも友人でも構いません。1人つかまえて、この3つを順番に聞いてください。「スマホにいくらまで出せる?」「いちばん何に使ってる?」「次は何年くらい使うつもり?」。答えを紙に3行で書きます。書けたら、その3行だけを見て、3つの棚のうちどれから出すかを1つ決めてください。決めた理由を1文で言えたら、接客で使う手順はもう身についています。
まとめ
機種の相談に答える力は、暗記量ではなく、聞く順番と棚の作り方で決まります。価格帯・使い方の重心・使う年数。この3つを通せば候補は2台に減ります。答えられなかった質問はその日に1行書く。おすすめとは、私たちの好みではなく、その方の3つに合っているもののことです。

