オプションの案内で信頼を失わないための考え方

オプションの案内で信頼を失わないための考え方
すすめることと、
押しつけること。
WHERE THE LINE IS.
「オプションの案内が苦手」
「すすめすぎている気がして迷う」
必要な人には案内すべきで、不要な人には引くべきです。その線引きをどう考えるか、店頭で使える判断基準をまとめました。
この記事は、これから携帯販売で働く方と、オプションの案内に後ろめたさを感じている方に向けた、実践編です。読み終わる頃には、案内していいかどうかを分ける3つの問いと、案内すると決めたときに話す順番、そして「今回はやめておきましょう」と言うための言葉が手元に残ります。売り方のテクニックの話ではありません。
「今日は削らなくて大丈夫です」と言う歯医者さん
歯が痛くて歯医者に行ったとします。診てもらったあとに「これは削らずに様子を見ましょう。次に痛んだら来てください」と言われた経験はないでしょうか。その日の売上にはなっていないのに、その一言があるだけで、次に何かあったときも同じ歯医者に行こうと思います。やらない判断を言ってくれる人は、信じられるからです。オプションの案内も、まったく同じ構造をしています。
苦手意識の正体は、伝え方ではありません
オプションの案内に抵抗を感じる方は少なくありません。理由の多くは、自分でも必要だと思えていないものをすすめようとしていることにあります。話し方を練習しても、この気持ち悪さは消えません。必要だと言い切れる相手にだけ話すなら、抵抗はきれいに消えます。問題は伝え方ではなく、誰に話すかの判断です。
必要かどうかは、お客様と一緒に決めます
この3つは、案内する側の言い訳をなくすための問いです。1つでも「いいえ」があれば、その方には案内しません。特に3つ目のやめ方は忘れられがちです。始め方だけ説明して、やめ方を言わない案内は、後日「まだ引き落とされている」という電話になって返ってきます。全員に同じ案内をしている時点で、それは提案ではなく作業です。
大事なのは、この判断を一人でやらないことです。「今のお話だと、これはあったほうが安心だと思います。ただ、月に550円増えます。どうされますか」と、材料を出して一緒に決めます。私たちが持つべきなのは、売る意思でも引く意思でもなく、その方の状況をこちらが分かっているという事実です。
「今回はやめておきましょう」と言える人が、指名されます
店頭では、こちらから止める場面が普通にあります。データを月に1ギガも使わない方に大容量の付帯サービスを付けない。買ってすぐ画面に保護フィルムを貼る方に、同じ用途のものを重ねて出さない。そういうとき、私たちは「今回はやめておきましょう」と言います。
その日の数字は1件減ります。それでも私たちがこれを続けているのは、必要のないものを買っていただいて上がった数字を、成果に入れていないからです。評価で見ているのは売上だけではなく、もう一度来ていただけたか、満足していただけたかまで含みます。強く押せば今月は上がりますが、長く支持されたかどうかは別の数字に出ます。
実際、その場で断った方が数ヶ月後に「前に止めてくれた人はいますか」と名前を出して来店されます。断ったはずの1件が、あとから2件になって戻ってくる。
案内すると決めたら、この順番で話します
順番を守る理由は、お客様が判断できる材料を、判断する前に全部渡すためです。良いところだけ話して金額を後から出すと、聞いている側は断りづらくなります。断りづらくして取った1件は、契約ではなく我慢です。
言い方を、この形に置き換えます
| つい言ってしまう言い方 | 私たちが使う言い方 |
|---|---|
| 「今なら無料なので、とりあえず付けておきますね」 | 「1ヶ月は無料ですが、来月から月額550円かかります。続けるかどうかは来月決められます」 |
| 「みなさん付けられていますよ」 | 「今の使い方だと、このオプションは使う場面がないと思います」 |
| 「あとで外せますので」 | 「外すときはこの画面から手続きできます。今この場で一緒に見ておきましょうか」 |
| 「入っておいたほうが安心ですよ」 | 「壊れたときに◯◯円かかります。それを月額◯◯円で減らす、という考え方です」 |
右の言い方には共通点があります。金額と条件を、こちらから先に言っていることです。都合の悪い数字を先に出すと、その後の話が全部信じてもらえます。逆に、後から出てきた数字は、それまで話した内容まで疑わせます。
その日の1件と、3ヶ月後に返ってくるもの
押し切って取った契約は、納得のないまま持ち帰られます。そして解約や苦情になって戻ってくるのは、たいてい売った本人のところです。私たちが自社の利益とお客様の利益の両方が立つ形を探すのは、そのほうが結局、会社にとっても長く得だからです。
オプションを案内する理由は、その方の困りごとを減らすためです
私たちはオプションを、売り上げの部品だとは考えていません。画面が割れたときの修理代、機種が故障したときの代替機、データが消えたときの復元。どれも、その方が実際に困る場面を先に減らすためのものです。困る場面がない方には要りません。案内する理由も、案内しない理由も、カウンターの向こうにいる方の生活の中にあります。そこを見ずに全員へ同じ話をした瞬間に、この仕事はただの押し売りになります。
今日からできる、たった1つのこと
自分が今払っているオプションやサブスクを全部書き出し、1つ選んでやめ方を最後まで調べる
スマホの請求明細か、契約内容の画面を開いてください。月額のオプション・保険・サブスクを、名前と金額つきで全部紙に書き出します。数が分かったら、その中から1つ選び、やめる手続きを最後の画面まで実際に調べてください(解約せずに、手順を確認するところまでで結構です)。何画面かかったか、どこで分かりにくかったかをメモします。やめ方を説明できる、という感覚が自分の手で分かります。
まとめ
オプション案内の是非は、話し方ではなく誰に話すかで決まります。使い方に合うか、家族にすすめるか、やめ方を説明できるか。3つとも開いたときだけ案内し、金額とやめ方を先に出す。合わないと分かったら「今回はやめておきましょう」と言う。その一言を言える人が、次に名前で呼ばれます。

