クレームを大きくしない、初期対応の型

クレームを大きくしない、初期対応の型
最初の一言で、
結末が変わる。
THE FIRST RESPONSE MATTERS.
「強い言葉を言われたらどうしよう」
「何から話せばいいか分からなくなる」
クレームは避けられませんが、大きくするかどうかは初期対応で決まります。一人で抱えないための型をまとめました。
この記事は、接客が初めてで「強い言葉を言われたらどうしよう」と不安な方に向けた、接客術の実践編です。読み終わる頃には、最初の3分でやることが3つの順番として頭に入り、言ってはいけない4つの言葉と、その場で代わりに使える一言まで手元に残ります。研修の1コマとしても、この1本で初期対応をひと通りカバーします。
クレームは、やけどと似ています
やけどをしたとき、すぐに流水で冷やせば跡はほとんど残りません。ところが慌てて何かを塗ったり、こすったりすると、あとから何倍も長く痛みます。クレームもこれと同じで、最初の数分の手当てだけで結末がほぼ決まります。難しいのは、やけどと違って「冷やす」にあたる行動が何なのかを知らないことです。この記事は、その手順を書いたものです。
最初から怒っている方は、ほとんどいません
料金や通信は生活に直結するので、強い言葉になることはあります。ただ、来店された時点で怒鳴っている方は多くありません。ほとんどは「聞いていた話と違う」という小さな困りごとから始まります。そこから大きくなるのは、上の4つの分岐を通ったときです。裏を返せば、この4つを通らなければ、多くはその場で収まります。
初期対応の3ステップ
①まず最後まで聞く。反射的に説明したくなりますが、話を遮られること自体が新しい不満になります。相づち以外は口を開かず、最後まで聞くだけで落ち着かれる方は少なくありません。②事実と気持ちを分ける。「何が起きたか」は確認が要りますが、「どう感じたか」にはその場で応えられます。「お待たせしてしまい申し訳ありません」は、事実確認の前でも言える言葉です。③一人で判断しない。最もやってはいけないのは、確証のない約束をすることです。後で覆ると、はるかに大きな問題になります。
私たちの店舗で、新人がいちばん先に覚えるのは商品知識ではなく、この3つの順番です。後から振り返って長引いた件は、ほとんどが①でつまずいています。お客様が3文話し終わる前に、こちらが説明を始めていた、という形です。
その場で使える、言い換え
| 出てきそうな言葉 | 代わりに使う言葉 |
|---|---|
| 「それは無理です」 | 「その方法は難しいのですが、別の形なら可能です」 |
| 「たぶん大丈夫です」 | 「確認いたします。5分ほどいただけますか」 |
| 「システムの都合で」 | 「こちらの手違いでご迷惑をおかけしました」 |
| 「担当が違うので」 | 「私が受けて、担当に確実につなぎます」 |
この4つは、その場で火を大きくします
どれも、言った側は逃げたつもりがなくても、聞いた側には「この人は自分の話をどこかへ流そうとしている」と受け取られます。分からないときは、分からないと言って構いません。困るのは、分からないまま答えてしまうことです。
終わったあとに、必ずやること
対応が終わったら、何が起きたかを記録に残します。私たちが報告に求めている形は決まっていて、事実 → 原因 → 改善案の3つを必ずセットにします。「こういうクレームがありました」で終わる報告は、次の誰かを同じ場所で転ばせるからです。そしてもう1つ。私たちは、ミスが起きたときに「誰が悪かったか」から入りません。見るのは「なぜこのミスが起きる形になっていたか」という構造のほうです。個人を責める店では、次から報告が上がってこなくなり、同じ問題が静かに繰り返されます。
強い言葉の下にあるのは、期待です
私たちが大切にしている考え方の1つに、逃げずに向き合うがあります。うまくいかない時に姿を消さないこと。クレーム対応は、まさにそれが問われる場面です。そしてもう1つ知っておいてほしいのは、本当に見限られた店には、クレームすら来ないということです。わざわざ時間を使って言いに来てくださるのは、まだ何とかしてほしいと思っていただけている証拠です。目の前の強い言葉は、あなた個人への攻撃ではなく、「困っている」という信号です。そう分けて受け取れると、最後まで聞くことがぐっと楽になります。
今日からできる、たった1つのこと
身近な人の不満を1つ、最後まで遮らずに聞いて、相手の言葉を3つ書き出す
今日、家族でも友人でも同僚でも構いません。誰かが何かに不満を言い始めたら、途中で「それはね」と口をはさまずに、話し終わるまで聞いてください。終わったら、その方が実際に使った言葉を3つ、そのまま紙かメモに書き出します。「疲れた」「もう見たくない」のように、要約せずに書くのがポイントです。最後まで聞くと相手の言葉が増えることを、自分の耳で確かめられます。
まとめ
聞く、分ける、一人で判断しない。この3つの順番を守れば、未経験でも初期対応はできます。言ってはいけない4つを避け、代わりに「確認いたします」と時間を伝える。終わったら事実・原因・改善案を残す。上手にさばくことより、逃げずに向き合うことが、結果として信頼になります。

