AIで事務作業を効率化する具体例

AIで事務作業を効率化する具体例
単純作業は、
AIに任せる。
AI IN PRACTICE
「AIが便利なのは分かったけど、結局どんな作業に使えるの?」
事務の“くり返し作業”こそAIの得意分野。具体例で見ていきましょう。
この記事は、ITリテラシー「AIツール」カテゴリの4本目、実践編です。3本目までで「AIとは何か」「ChatGPTの使い方」「指示の書き方」が分かった方に向けて、事務の仕事のどこをAIに渡すかを、作業名と打ち込む言葉まで具体的に並べます。明日そのまま真似できる形にしました。
先に結論から。AIに渡せるのは「型のある作業」です。型があるとは、やることの順番と出来上がりの形が毎回だいたい同じ、という意味。まずは自分の1日を、型のある作業とそうでない作業に分けるところから始めます。
自分の1日を、2つの箱に分ける
引っ越しの荷造りに似ています。段ボールに詰められるものと、手に持って運ぶものを最初に分けますよね。仕事も同じで、詰められる作業と手で運ぶ作業を分けるところから始まります。
そのまま真似できる、4つの頼み方
事務の現場で出番が多いのは次の4つです。図の中の文章は、そのまま打ち込んで使える形にしてあります。自分の言葉に言い換えず、まずはこのまま試してみてください。
4つのうち、初心者の方に最初におすすめしたいのは④誤字と抜けの点検です。自分が書いた文章を貼って点検を頼むだけなので失敗がなく、指摘された箇所を直せば、その場で完成品の質が上がります。
反対に、最初は手を出さないほうがいいのが「計算」です。表の合計を出す、勤務時間を足す、といった作業はExcelの方が確実で、AIは平気で計算を間違えます。並べ直しはAI、足し算は表計算ソフト——この線引きを最初に決めておくと、後で困りません。
逆に、AIに渡してはいけないもの
ここは、便利さと同じくらい大事な話です。多くのAIサービスは、入力した文章が会社の外のコンピューターに送られます。一度送った情報は、自分の手では取り消せません。
置き換えの手間はほんの数秒です。「山田太郎様」を「A社のBさん」に、「請求額1,248,000円」を「請求額◯万円」に。文章の型を作ってもらうのが目的なら、本物の中身は要りません。詳しくは7本目の「注意点」でもう一度扱います。
使う順番を間違えない——先に人が読む
もう1つ、順番の話をします。AIに要約を頼むと、つい要約だけを読んで元の資料を読まずに済ませたくなります。ここは踏みとどまってください。要約はAI、判断は人。要約を読んで「これは自分が決める話だ」と思った資料だけは、元の文章を最後まで自分の目で読みます。
私たちの目安は、お金と人が動く資料は必ず全文を読むです。契約条件、勤務シフト、請求内容。この3つだけは要約で済ませません。それ以外の共有事項や案内は、要約で十分に足ります。
CCの現場のリアル——月末の突合作業
私たちのバックオフィスには、月末に必ず発生する仕事があります。各現場から届く勤務報告のメールを開いて、日付・時間・氏名を1件ずつ集計表に写す作業です。50件を超える月もあり、以前は2人で半日かかっていました。
今は、届いたメールの本文をまとめて貼り付けて「日付・氏名・勤務時間の3列の表に整えて。読み取れない箇所は空欄のままにして」と頼む形に変えました。空欄になった数件だけを人が元のメールで確かめます。半日だった作業は、約1時間半になりました。
大事なのは「空欄のままにして」の一言です。これがないと、AIは読み取れなかった箇所を勝手に埋めてしまうことがあります。この一言があるかどうかで、確認の安全性が変わりました。
浮いた時間の使い道は、先に決めておく
半日が1時間半になって浮いた時間は、放っておくと別の作業で埋まります。だから私たちは、浮かせる前に使い道を決めるようにしました。月末の午後は、現場のスタッフから届いた相談メールに、その日のうちに返す時間に充てています。
表を速く作れることが目的ではありません。目的は、返事を待っているスタッフを翌日まで待たせないこと。速さは手段で、その先の人が目的——これが、私たちがAIを使う理由です。
今日からできる、たった1つのこと
自分の1週間の作業を10個書き出し、「型のある作業」に丸をつける
紙を1枚用意して、この1週間に自分がやった作業を10個書き出してください。次に、それぞれについて「やる順番と出来上がりの形が毎回だいたい同じか」を考え、当てはまるものに丸をつけます。丸がついた中から、いちばん時間がかかっているものを1つ選び、その作業を次にやるときにAIへ1回だけ頼んでみてください。丸が3つ以上つく人がほとんどです。
まとめ
AIに渡せるのは型のある作業。案内文の下書き・要約・表への並べ直し・誤字の点検の4つから始めます。お客様の名前や金額は置き換えてから貼り付け、読み取れない箇所は空欄のままにしてもらう。そして浮いた時間の使い道は、浮かせる前に決めておく。次の記事では、この中でも効果が大きい議事録づくりを、会議当日の動きに沿って見ていきます。

