ジョブ理論入門|顧客は商品を「雇う」という考え方

ジョブ理論入門|顧客は商品を「雇う」という考え方
商品は、
“雇われて”いる?
JOBS TO BE DONE
良い商品なのに選ばれない。顧客が何を求めているのか分からない——。
「顧客は商品を雇って用事を片付ける」。この視点で、本当の価値が見えてきます。
「顧客ニーズを深く理解したい」——そんなとき、大きなヒントになるのが「ジョブ理論」という考え方です。少し変わった名前ですが、一度知ると、顧客の見え方がガラリと変わります。
先に結論から。ジョブ理論とは、「顧客は商品を“買う”のではなく、自分の用事(ジョブ)を片づけるために商品を“雇っている”」という考え方。「なぜ、その商品を選んだのか」を、まったく新しい角度から見せてくれます。
ジョブ理論とは?商品を「雇う」という考え方
ジョブ理論では、顧客が何かを買う瞬間を、「用事(ジョブ)を片づけるために、商品を雇った」ととらえます。「ジョブ」とは、その人が「片づけたい用事・なりたい状態」のこと。商品は、その用事をこなす“従業員”のようなものだと考えるのです。
面白いのは、うまく用事を片づけてくれれば「また雇う(リピート)」し、期待外れなら「クビにする(二度と買わない)」という発想。顧客は、商品の機能そのものではなく、「自分の用事が片づくか」で選んでいる——これがジョブ理論の中心です。
有名な「ミルクシェイク」の話
ジョブ理論で語られる有名な例に、「ミルクシェイク」の話があります。あるお店で、朝にミルクシェイクがよく売れる。調べてみると、多くは「長い車通勤の、退屈でお腹が空く時間をまぎらわせるため」に買われていました。つまり顧客は、“おいしいシェイク”ではなく、“退屈な運転の相棒”としてシェイクを雇っていたのです。
この「ジョブ」が分かると、打ち手が変わります。味を少し変えるより、「片手で長く飲めるよう、もっと濃くする」ほうが、用事にぴったり合う。商品を良くするのではなく、用事を片づけやすくする——ジョブから考えると、改善の方向がまるで違ってくるのです。
「雇う」で考えると、何が変わるのか
「買う」で考えると、つい商品のスペック競争になります。「うちのほうが高性能」「うちのほうが安い」。でも「雇う」で考えると、“その人の用事”が主役になります。「この人は、どんな用事を片づけたくて、これを選んだのか?」
視点が「商品」から「顧客の用事」へ移る。すると、機能を足す以外の解決策が見えてきます。顧客の“状況”に寄り添えるようになるのが、ジョブ理論の大きな効き目です。顧客ニーズの基本は「顧客ニーズとは?」もあわせてどうぞ。
競合は、同じ業界とは限らない
ジョブ理論の面白いところが、「競合が変わる」こと。先のシェイクの“退屈しのぎ”という用事にとって、ライバルは他店のシェイクだけではありません。バナナ、コーヒー、ラジオ——同じ用事を片づけるものは、すべて競合になります。
これは採用でも同じです。ある人が「安定した環境で長く働きたい」という用事を持っているなら、あなたの会社の競合は、同業他社だけではありません。“今の職場に残る”という選択肢も、立派な競合。「顧客の用事の視点で、本当の競合を見る」と、戦い方が変わります。
今日からできる、たった1つのこと
自分の買い物を「雇用」で見る
ジョブ理論は、自分の行動で試せます。おすすめは、最近の買い物やサブスクを一つ選び、「これを、どんな用事のために雇ったのか」を考えてみること。動画配信なら「一人の夜の時間を、さびしくなくするため」かもしれません。
用事が見えると、「もし満たされなければ、何にクビを切って、何を雇い直すか」まで見えてきます。「人はどんな用事で、これを選んでいるのか」と問う癖は、顧客理解の力をぐんと引き上げます。
まとめ
ジョブ理論とは、顧客は商品を「買う」のではなく、用事を片づけるために「雇う」という考え方です。主役は商品ではなく“顧客の用事”。この視点に立つと、改善の方向も、本当の競合も、まるで違って見えます。「この人は、どんな用事のためにこれを選んだのか?」——この問いが、顧客理解を一段深くします。
私たちCCコミュニケーションズは、「顧客の用事から考える」姿勢を大切にしています。まずは、私たちの仕事をのぞいてみてください。

