マーケティング戦略の作り方|「やらないこと」を決める

マーケティング戦略の作り方|「やらないこと」を決める
戦略って、
“やらない”決断?
HOW TO MAKE STRATEGY
戦略を立てろと言われて、あれもこれもやりたくなり、結局ぼやけていませんか。
戦略の核心は“やらないことを決める”こと。限られた力を一点に注ぎます。
「戦略を立てよう」と言われると、なんだか壮大で難しそうに聞こえます。でも、マーケティング戦略の本質は、意外なほどシンプル。それは「やることを増やす」ことではなく、「やらないことを決める」ことなのです。
先に結論から。戦略とは、限られた資源(人・お金・時間)を「どこに集中するか」を決め、同時に「何をやらないか」を決めること。全部やろうとすると、力が分散して、結局どれも中途半端になります。なぜそう言えるのか、見ていきましょう。
戦略とは?「やらないこと」を決めること
戦略と聞くと「あれもこれもやる、壮大な計画」を想像しがちですが、逆です。戦略の核心は「捨てる」こと。使える人・お金・時間には限りがあるからこそ、「どこに集中し、何を捨てるか」を決めるのが戦略なのです。
「やることリスト」は簡単に作れます。難しいのは「やらないことリスト」。魅力的に見える選択肢を、あえて手放す。この“捨てる勇気”こそが、戦略の本質です。何をやるかより、何をやらないか。ここが決まると、力が一点に集中します。
なぜ「全部やる」は失敗するのか
「あれもこれも」と手を広げると、一つひとつに使える力が薄まります。虫めがねで日光を集めると紙が焦げますが、広げたままでは何も起きないのと同じ。力は、一点に集めてこそ、突き抜けるのです。
特に、大企業に比べて資源の限られる会社ほど、集中が命。大手と同じ土俵で「全方位」に戦えば、必ず物量で負けます。勝てる一点にすべてを注ぐからこそ、小さくても勝てる。だから「やらないこと」を決めるのは、弱者の戦略でもあるのです。
限られた資源を、どこに集中するか
では、どこに集中すればいいのか。判断のよりどころは、やはり「顧客」と「自社の強み」です。「いちばん役に立てる相手は誰か」「自社がいちばん勝てる領域はどこか」。ここが交わる一点に、資源を集中させます。
逆に、「大きそうな市場だから」「流行っているから」と、強みの外に手を出すと、たいてい失敗します。集中すべきは、“儲かりそうな場所”ではなく“自社が勝てる場所”。ここを見極めるのが、戦略づくりのいちばん大事な判断です。
戦略の作り方(4つの問い)
戦略は、次の4つの問いに順番に答えていくと、形になります。
- 誰に:いちばん役に立てる相手は誰か。(ターゲットを絞る)
- どんな価値を:その人に、何を提供するのか。
- なぜ自社が選ばれるか:他ではなく自社である理由(USP)。
- どこに集中し、何をやらないか:資源を注ぐ一点と、捨てるもの。
この4つが決まれば、日々の施策がブレなくなります。「これはやる/やらない」を、戦略に照らして判断できるからです。選ばれる理由の作り方は「USPの作り方」もどうぞ。
施策が「一つのストーリー」でつながる
良い戦略があると、個々の施策がバラバラでなく、一本の線でつながります。「誰に・何を・なぜ」が定まっているから、広告も、記事も、接客も、すべて同じ方向を向く。この“つながり”が、じわじわと強い印象を積み上げます。
逆に戦略がないと、施策が単発の思いつきになり、方向がバラバラに。がんばっているのに、印象が積み上がりません。複数の施策が、一つのストーリーとしてつながっている——これが、戦略があるかどうかの見分け方です。ブランドづくりの視点は「差別化・ポジショニング」もどうぞ。
伸ばす手立ては、3つしかない
「やらないこと」を決めたあと、次に迷うのが「では、どこに集中するのか」です。ここで手が止まるのは、打ち手が無限にあるように見えるからです。でも実際には、売上を伸ばす手立ては3つしかありません。
①お客様の数を増やす。②1回あたりの取引を大きくする。③取引が続く回数を増やす。この3つは足し算ではなく掛け算です。だから、それぞれを1割ずつ改善できれば、全体では3割以上になります(あくまで計算例です)。
ここで大事なのは、多くの現場が①だけを見ているということです。新しいお客様を探すのは、いちばんお金も手間もかかる方法なのに、そこにばかり力を入れてしまう。②と③は、すでにある関係の中にあります。つまり、追加のコストがほとんどかからない打ち手です。
| 3つの軸 | 人材派遣・BPOなら | 採用なら |
|---|---|---|
| ① 数 | 新規クライアントの社数/新しく登録するスタッフ | 応募者の数 |
| ② 1回の大きさ | 1社あたりの稼働人数、任せてもらえる職種の広がり | 一人ひとりが活躍できる範囲 |
| ③ 回数・長さ | 契約更新、追加発注、別拠点への展開 | 定着、再応募、出戻り、紹介 |
※表の内容は考え方を示す例です。CCの実績値ではありません。
採用でも構造はまったく同じです。「応募数を増やす」しか打ち手がないと思っていると、広告費だけが増えていきます。けれど、一人ひとりが活躍できる状態をつくること、辞めずに続けてもらうこと、辞めた人が戻ってきたり誰かを紹介してくれたりすること——これらは応募数を増やすのと同じだけ効きます。しかも、こちらのほうがコストは小さい。
「集中する場所」を決めるとき、①だけを候補にしていないか。
戦略とは「やらないこと」を決めることでした。やらないと決めて空いた余力を、また新規獲得に注ぎ込むなら、結局なにも変わりません。②と③は、いま目の前にある関係の中にあります。まずはそこを見てから、①に予算を足すかを決めます。
新しいことを足す前に、いま持っているものを見る
戦略の相談を受けると、たいてい「次に何を始めるか」の話になります。新しい媒体、新しい広告、新しいSNS。でも、その前に必ず確認したいことがあります。いま持っているものを、使い切っているかです。
会社には、まだ使われていない資産がかなりあります。少し前まで取引があって、いまは止まっているクライアント。登録したまま就業に至っていない求職者。長く稼働している現場との関係。そして、辞めていった人たち。どれも、ゼロから関係をつくる相手ではありません。
- 取引が途切れたクライアントに、この半年、一度でも連絡しただろうか
- 登録はしたけれど就業に至っていない人に、別の選択肢を出せているだろうか
- いま入っている現場から、別の職種・別の拠点の相談を受けられる関係になっているだろうか
- 辞めた人が「もう一度」と言えるようにしてあるだろうか
新しい施策には、お金と時間と、覚えるための労力がかかります。いま持っているものから取り切るほうが、たいていは早くて確実です。「やらないこと」を決めるのと、「まだ使っていないものを使う」のは、同じ戦略の裏表です。
今日からできる、たった1つのこと
自分の時間の「やらないこと」を決める
戦略思考は、自分の時間で練習できます。おすすめは、「今週、いちばん大事な一つ」を決めて、そのために「やらないこと」を一つ決めること。あれもこれもと欲張らず、一点に集中してみましょう。
「やること」を足すのは簡単ですが、「やらないこと」を決めるのは勇気がいります。でも、それができたとき、成果はぐっと出やすくなります。捨てるからこそ、集中できる。この感覚は、仕事でも人生でも、強力な武器になります。
まとめ
マーケティング戦略とは、限られた資源を「どこに集中するか」を決め、同時に「何をやらないか」を決めること。全部やると力が分散し、どれも中途半端になります。誰に・何を・なぜ選ばれるか・どこに集中するか——この4つを定めると、施策が一本の線でつながる。捨てる勇気が、強さを生みます。
私たちCCコミュニケーションズは、「集中し、やらないことを決める」戦略思考を大切にしています。まずは、私たちの仕事をのぞいてみてください。
